3つの工法・構法
2022.05.24
『建築工事における3つの工法・構法』
について解説しています。
建築工法には、
❶木造、
❷鉄骨造り、
❸鉄筋コンクリート造り(RC造り「アールシー」)
の三種類があり、それぞれ強度を出す為の
考え方が異なります。
❶木造とは?
木造(もくぞう)は、もっとも住宅向けに普及した工法で、床面積が百坪以下の場合には店舗で使用するものが多く見られる工法です。普及型建材を使用する限りは、上記の3工法中最もコストが安くできる工法と言えます。
木造りはさらに三工法に区分されます。
1.1 在来工法
柱を固定するため斜めに筋交い(すじかい)を用います。
筋交いは支持棒で縮み方向の力を押さえます。また、柱や梁(はり)と土台との接合部に臍(ほぞ)を用いる臍工法によって強化され、木材が持つ『撓やかさ』(しなやか、たわむ漢字で曲がる意。)によって耐震性が高まります。
在来の場合、特に欄間を付ける鴨居は重要な耐震構造を作り出します。竹を組んで藁で結い上げる土壁も構造固定に寄与します。木造中、最も太い製材が使われ坪単価は高価なものも多い。
1.2 ピン工法
接合部にボルトや鉄ピンを使用し接合強度を高めます。
木材欠損が少ない分、材木本来の剛性を保ち、加工作業性も向上する利点もよい特徴のひとつです。
1.3 パネル工法
一般にツーバイフォー工法やツーバイシックス工法などが知られています。2×4材とは構造材のことで、
厚さが2インチ、幅が4インチ
(1インチは2.54センチメートル、25.4ミリメートル)
の柱材を用い『壁面の歪み』を無くすため片面または両面に合板を(接着貼付け)ビス釘打ちを行います。完成した住居は調度、段ボール箱のようなイメージで、放り投げても壊れにくい利点が生まれます。
元々技術の無い素人向けの工法でしたが、今日ではモノコック工法的な建築手法は、施工精度やコストパフォーマンスにも優れ主流工法の地位にあります。プレハブ工法(前もって作る、前加工)は工期短縮にもひと役買っています。
◉高気密・高断熱住宅においては、遮熱工法や断熱工法と呼ばれる遮熱や断熱以上に気密が重要であることがあまり理解されていません。気泡ウレタンを使った気密工法を考える上でもパネル工法には利点があります。
遮熱材には真空パックやアルミニュームシートが利用されています。
※日本ではメートル単位が当たり前ですが海外で建築する場合インチを用いる事も多くお打ち合わせ時や発注時には十分な注意を払う必要があることに留意してください。
※工法の違いや利点と欠点。などを参考にして下さい。
❷鉄骨造りとは?
鉄骨作り(てっこつづくり)は、鉄柱や鉄梁(はり)と鉄骨土台の隅をブレス(鉄棒)で結束し引っ張りよって強度を保つラーメン工法を指します。
2.1 重量鉄骨
重量鉄骨(じゅうりょうてっこつ)は5mm以上の肉厚のものを言い普及型木造に比べると費用・予算が高いのが一般的です。重量鉄骨工法では、一階部分のみを鉄骨にし二階部分や三階部分を木造作りとした複合造りもみられます。大スパン(広い柱の少ない空間)を造るのに向いていて、設計デザイン上では、下部に構造物がなく上部が突き出たオーバーハング構造に威力を発揮します。
2.2 軽量鉄骨
軽量鉄骨(けいりょうてっこつ)は、1.4mmから5mm未満までの鉄板肉厚を用いた施工方法で、一般木造住宅と同等の価格に抑えることを可能にしたハウスメーカー商品です。同じく鉄骨特有のラーメン軽量鉄骨工法でブレスを引張り固定強度を生み出す点は同じで鉄板肉厚差だけが違います。
❸コンクリート造り
3.1 鉄筋コンクリート造り
鉄筋RCコンクリート造りとは、文字通りの工法で、台風被害の多い熱い地域に多く見られる特徴があります。何の略かと言うとReinforced Concreteで重量も有り風圧強度が高いという利点があります。reinforceは「発音:リインフォース」と読み、鉄筋で『補強する』ことを意味します。
基本的にマンションなどの集合住宅と同じなため普及型工法ではあります。店舗併用住宅ビルなどの建設工事では、重量鉄と共によく見られます。
ただ個建ての場合、外気に接する壁面の比率が高い点(表面積比率が高い)が異なり、寒暖差の多い日本本土大半部分では結露による湿気やカビの問題は気泡ウレタン吹付で解決できますが内装下地壁が必要で他の候補に比べ高価な点から敬遠されています。
このような欠点を補う方法として軽量鉄骨と軽量気泡コンクリートの組み合わせた商品に人気があります。工場外壁などにも気泡コンクリートが用いられています。
3.2 鉄骨鉄筋コンクリート造り
SRCはSteel Reinforced Concreteの略で、鉄骨鉄筋コンクリート造。 … H形鋼などの頑丈な鉄骨の柱の周りに、鉄筋を組んでコンクリートを施工するため、RC造よりも細い柱や梁で、強度の高い構造物を造ることが可能。
【ちょっとひといき】
「住まい」の目的は正に「子育て」です。
「三つ子の魂百まで」と言われる通り
幼少期の教育が最も重要な時期であり
子供の人生を左右します。
巣立っていくとその役割の大半を終えます。
生活スタイルの変化も念頭に置いて
デザイン設計することも重要ですね。
◉耐震等級
耐震等級(たいしんとうきゅう)とは、建築確認申請が許可される以上の耐震性を建設物に持たせること。
標準は耐震1ですが、耐震2と最高等級の耐震3があり、耐震3は建設業界では『避難所クラス』と呼び公共施設並みの頑強な建設物や建築物と同等です。
通常、耐震計算は垂直方向の壁面計算を行いますが、
加えて水平方向「水平構面計算」を行う点が異なり、
強度確保のため設計制約を受ける等3点の違いがあります。
ソフトウェアーの普及により
小規模工務店でも耐震3レベルの耐震性チェックを行う工務店も増え、地震国日本ではご検討の価値があるかと存じ上げます。
その大きな理由が地震保険の高さです。
保険加入によって大幅に保険料が高騰します。
加入していても支払いには時間も掛かり、
居住場所が直ぐに提供される訳ではなく、
想像以上に困難な生活が待ち受けています。
長期に渡り高額保険を払うより、
『耐震強度を高め無保険で済まそう。
その分を耐震建築費に回そう。』
という考え方は有りかと思います。